高気圧酸素治療

【お知らせ】
 当院が開発した【 潜水病治療機(再圧治療タンク)】が千葉県立現代産業科学館の
 『伝えたい千葉の産業技術100選』に選ばれました。

詳しくはこちら ➞【千葉県立現代産業科学館ホームページ】をご覧ください。
         [No.37「日本初の潜水病治療機の開発」として掲載されております。]

高気圧酸素治療(Hyperbaric oxygen therapy:HBO療法)

当院は高気圧酸素治療のパイオニアです

高気圧酸素タンク 外観1952年(昭和27年)、戦後多発した潜水病治療のため、日本で
初めて当院に高気圧治療装置を設置しました。

その後、欧米やわが国の大学病院や民間病院に次々と本装置が設置され、潜水病の治療のほか一酸化炭素中毒、脳塞栓、突発性難聴や急性・慢性の末梢循環障害など種々の疾患に応用されるようになりました。
近年ではスポーツ障害の回復にも注目されている治療法です。

治療の原理

空気呼吸時、肺胞に入った空気中の酸素は肺胞を取巻く毛細血管中の赤血球のヘモグロビンに結合します(結合型酸素)。また、一部は血漿中に溶解します(溶解型酸素)。そして、この2つの型の酸素が血流によって、体内の各組織に送られるのです。
しかし、結合型酸素は赤血球中のヘモグロビンに酸素が100%入ってしまうと、それ以上は増量しません(大気圧下、空気呼吸時の動脈血の酸素飽和度は97〜98%です)。
これに対し、溶解型酸素は気圧が上昇するにつれて、一定の法則に従って少しづつ増量してゆきます。大気圧下、空気呼吸時の動脈血酸素分圧が100mmHgであるのに対して、2気圧下、純酸素吸入時では1000mmHg以上へと大きく増やすことができます。この増量させた溶解型酸素によって、体内の低酸素症を改善しようとするのが高気圧酸素治療です。

治療装置

治療装置には2つの型があります。《当院は第二種治療装置》

第1種治療装置

(一人用の治療装置)。多くの場合純酸素で装置内を加圧します。

第2種治療装置

(多人数用の大型装置)。装置内は空気で加圧し、患者さんはマスクを通し酸素を吸入します。装置内の酸素濃度は25%以上にならないように調節してあるので、火災などの危険はありません。ただし、点火源となる物品(マッチ、ライター、カイロ類)を持ち込んではいけません。

治療を受けるには?

費用と治療効果(健康保険適応疾患の方)

  費用は3割負担で9,000円、1割負担で3,000円となります。(別途、診療費・酸素代がかかります)
 <適応疾患>
  〇急性末梢血管障害(重度の火傷・凍傷、広汎挫傷、圧挫症候群)
  〇放射線、または抗がん剤治療と併用される悪性腫瘍
  〇一酸化炭素中毒
  〇網膜動脈閉塞症
  〇突発性難聴
  〇ガス壊疽・壊死性筋膜炎
  〇難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
 ※減圧症・空気塞栓症の方の費用は
   3割負担で15,000円、1割負担で5,000円となります。(別途、診療費・酸素代がかかります)  

費用と治療効果(自由診療の方)

  11,000 円(税込)/回
  ※初回のみ診察料 4,050円
  ※酸素マスク代 700円(全て税込) *ご購入頂き、治療中はご自分の物としてお使い頂くマスクです。
<治療効果>
  〇ケガの回復促進
  〇手足のむくみや冷えの改善、足腰の痛み・目の奥の疲れの緩和などの健康管理
  〇ノドのむくみの改善

再診日の治療時間・来院時間

紹介状をお受け取り診察の日程がお決まりになりましたら、担当者が優しく丁寧にご説明いたします。
治療時間が90分と長いため、本や雑誌の持参をお勧めしております。スマホ・タブレットは持ち込めません のでご注意ください。
予約日当日はお時間までにご来院ください。お車でお越しの場合、駐車場はございますが、曜日によっては 満車となっている場合もございますので、お早めにお越しください。
2回目以降は以下の時間枠でご予約ください。保険適応の方は毎回簡単な診察があります。

月〜金曜日 土曜日 日曜・祝日
9:00(8:30来院) 休診
10:30(10:00来院) 休診
14:00(13:30来院) 休診 休診
15:30(15:00来院) 休診 休診

※年末年始(12/30〜1/3)と定期点検期間(3月中のいずれかの3日間)は除きます

当院のHBO治療について簡単にまとめた資料もございます。よろしければ以下のリンクからダウンロードしてください。

高気圧酸素(HBO)治療のご紹介

高気圧酸素治療の実際

当院で行っている高気圧酸素治療の標準的パターンは右図のとおりです。
われわれが生活している地表は1.0ATA(絶対気圧)です。装置の中も始めは同じく1.0ATAです。 扉を閉めて、装置内の圧を15分かけて2.0ATAにします。そして、2.0ATAで60分間治療します。 その後、15分かけて装置内圧を1.0ATAに戻します。
以上で1回の治療は終了となります。全体の所要時間は90分です。

治療中の様子


リクライニングチェアにお掛けいただき、リラックスして治療が受けられます。

治療について(初めて治療を開始される方はお電話で問合わせいただけますとスムーズです。)

  • 健康保険で治療を受けられる病気は下記の表を参照下さい。
    他医療機関からのご紹介も承ります。(紹介状をお持ち下さるようお願いいたします。)
  • 治療開始時間は 9:00AM、10:30AM、2:00PM、3:30PMの1日4回です。(1回90分間の治療)
    (ただし、土曜日は午前中の2回のみ)
  • 当院外科にて診察を受けていただき治療を開始します。
  • 治療を開始し、2回目以降の治療は予約も承ります。
  • 治療についてのお問合わせは、043-227-7437(病院代表)高気圧酸素治療科までお願い致します。

費用が高くて受けるのが難しい

保険診療の方は高額療養費制度をご利用されるのをおすすめいたします。
高額療養費制度の詳細はこちらのリンク(高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省 (mhlw.go.jp))から ※自由診療の方は対象外です
またHBOの治療効果は発症・受傷から早いほど効果が高くなります。
1〜3か月で集中してHBO治療をお受け頂くと「ご負担は少なく」「治療効果は高く」なります。

更なる臨床応用

現在当院では、急性・慢性の脳血管障害、突発性難聴、腸閉塞や抗癌剤の併用される悪性腫瘍の高気圧酸素治療が多用されています。さらに高気圧酸素治療は、その臨床利用の有用性が注目され、糖尿病や高血圧の管理、副腎皮質ホルモンの刺激による老化の防止や若返りの研究など新しい適応開発の試みが進められています。
また、宇宙船外活動の場合の減圧症の研究も新しい問題として取り上げられています。当院でも、今後益々基礎的研究とその臨床応用を重ねていきます。