動脈硬化測定機

閉塞性動脈硬化症(ASO)は日本でも急速に増加しています

動脈硬化測定機近年の日本人の3大死因は、「がん」「脳血管疾患」「心疾患」です。
このうち、「脳血管疾患」と「心疾患」は、「動脈硬化」が原因です。

「動脈硬化」が進行した血管は、血管壁が厚くなって弾力性が失われ、血管の劣化や狭窄を起こすことで、血液の流れが徐々に悪くなり、最終的に血液が流れなくなってしまいます。これが、閉塞性動脈硬化症(ASO)です。

食生活の欧米化、運動不足、社会の高齢化で、ASOが急速に増加しています。自分がASOであると気づく事は、ほとんどなく、40才以上の方ではASOの疑いが強い人が1%、グレーゾーンの人が3〜4%いるといわれています。

加齢によって、程度の差はありますが動脈硬化は誰にでも起こるものです。特に、喫煙、肥満、高脂血症、高血圧などがあると、動脈硬化の進行が加速されます。重大な病気にかからないためには早期発見と早めの生活習慣改善が大切です。

従来は、動脈硬化の進行を簡単に調べることはできませんでした。当院で導入した動脈硬化測定機では、心電図、心音図、脈波、及び両手、両足首の4箇所の血圧を同時に測定することで、総合的な判断により動脈の閉塞状況と硬化状況を調べることができます。
また、検査所要時間はわずか5分程度で、痛みや苦痛はほとんどありません。

測定の原理

動脈硬化が進行すると、血液の流れ方に2つの変化が起きます。

血液の伝播速度が早くなる

柔らかい血管は、心臓が血液を押し出した圧力を、血管が膨らむことで吸収できますが、動脈硬化で硬くなった血管は膨らむことができず、圧力の吸収ができません。そのため、心臓からの圧力を血液が直接受け伝播速度が速くなります。本装置では、脈波の伝播時間を直接測定し、身長から求めた血管長から脈波伝播速度(PWV)を求めます。

狭窄部から先の血圧低下

動脈硬化が更に進行すると、血管内壁に沈殿物が厚く付着して内腔が狭くなります。そのため、血液の流れが悪くなり、狭くなっている部分から先で血圧の低下が起こります。動脈硬化は下半身の血管から進行することが多いため、腕で計った血圧と脚の血圧比(ABI)を求めることで、動脈硬化の進行程度がわかります。

PWV(Pulse Wave Velocity) 脈波伝播速度:動脈壁の硬さを評価する指標
ABI ( Ankle-Brachinal Index ) アテローム性動脈硬化による狭窄・閉塞を診断する指標
→アテローム性動脈硬化(粥状硬化症)とは、血管内壁にコレステロール等の脂質が沈着したり血管の細胞が増殖したりして血管の内腔が狭くなる病気です。

※動脈硬化の診断は、PWV、ABI、に加えて得られた波形などの情報から医師により総合的に行なわれます。